里山の美しい風景を残す長野県佐久市望月。
人が暮らす土地の隣には、森があり、沢山の動植物の暮らしがあります。
その森が荒れていることで、動物達が田畑に出て来ていること。
私達の暮らしも彼らと同じように、森がくれる恵みでなりたっていること。
山と向き合うことは、私達の生活と向き合うことです。
〈もちづき鹿の会 dear
deer〉は、鹿による農作物の深刻な食害により、
里に下りてくる鹿の数を減らすことを目的に鹿の罠猟を行い、
かかった鹿は解体、精肉して食しています。
「みんなで捕ってみんなで食べる」を基本に、
山あいの暮らしに興味のある人が興味のままに参加できる会です。
農作物の食害は、山沿いで暮らす農家にとって深刻なものです。
食害対策はさまざまありますが、追い払う、柵をつくるといった対策は
隣のところに鹿を行かせるだけで、そういった対策ができない田畑に被害が集中します。
柵などの対策は取りながらも、それでも田畑に出てくる鹿を捕り、
いただいた命を食すことは、山あいに生きるうえで必然でもあると感じています。
今後は、これらを単なる食害に終わらせず
その周りにある環境についても考えていけたらと思っています。
鹿の罠猟から食肉になるまでには、いくつかの流れがあり、
また、臭みのない肉、美味しい肉になるには、一時間以内の血抜きが必要となります。
それらは、猟を行う人々の生活ととても密接な関係にあります。
山あいに住む必然として鹿を捕り、食す。
今はめずらしいとされるこれらのことは、
現代に生まれた新しい文化の源流ととらえることができます。
私たちの暮らしや命は、山や森と切り離すことはできません。
ここでの、これからの、暮らしを作っていく。
山と生きる文化についてこれからも向き合っていきます。